不倫のDNA

父が不倫してた昔の話し。

父の最後

もう今晩…父は亡くなって

しまうかもしれない。


彼女に会うわせてあげようと

思い彼女に電話した。

私からの電話にびっくりは

していたものの

行ってもいいんですか?

と言って、彼女は

病院にかけつけてくれた。


彼女が来たのが、分かっているのか

分かっていないのか…分からないけど。


私と二人で一緒に病室にいるのも

お互いに気を使って疲れるし

話する事もないから1時間交代で

看病する事にして1時間たったら

休憩室で休憩するようにした。


そんな感じで交代しながら

気づけば夜が明けていた。

なんか…疲れたなぁ。


どうしよう…彼女も一晩寝ずに

いて疲れただろうから彼女に

帰ってもらおうかな…と思っていたら

先生達がバタバタとしだした。


そして、先生から

声をかけてあげて下さい。

と言われた。


私は…「お父さん!」って声をかけた。

それ以外言葉が出てこなかった。


こういう時は

「死なないで!」と言えばいいのか

それとも「今まで有難う…」

なのか…いやいや、それは恥ずかし

すぎるでしょ。

「最後にやってくれたな!」

って嫌味でも言ってやろうか…うーん…


なんて頭の中をグルグルして

結局の所の

「お父さん!」なんだけど。


そんな冷静な私の横で彼女が…


「まだ死んじゃダメ!私の時じゃ

 ダメ!奥さんが来るまでダメ!

 最後は私じゃないでしょ!」


って大きな声で泣きじゃくりながら

何度も何度も叫んでいた。


なんだそれ。ドラマみたいだな。


それにしても…声、大きくない?

うるさいんですけど。


…って泣きたかったけど

涙も引っ込んだ。

なんだよーここ、泣くところなのに!

最後、父にしてあげられる事


足をマッサージしながら

父との思い出を思い出していた。


楽しい思い出ばかりだったし

なんだかんだ、いい父親だった。

頼りになる父だった。


思春期に父を汚いとかウザいとか

思った事もなかったし

大好きで自慢の父だった。


最後に何が出来るかな…

色々考えて

彼女に最後、合わせてあげようかなと

思った。もうほとんど意識はないから

来ても話も出来ないし、分からない

かもしれない。でも…

もしかしたら分かるかもしれない。


母には内緒で彼女に電話した。

最後の夜

私や夫のインフルエンザも

良くなり母も少ししたら

退院し父も家に戻ってきた。


でもそれから父の具合が

悪くなりまた入院する事に

なった。


入院してからは、どんどん

具合が悪くなって入院してから

1ヶ月くらいして、もう

意識ももうろうとなってきた時

いつ、どうなってもおかしくない

と先生に言われた。


その日は朝から夜までずっと病院で

看病していた母だけど、帰る事になり

父に帰るね…と言って

帰ろうとすると、意識ももうろうと

していた父が、帰らないでほしいと言った。そして彼女にも来てほしいと。

二人にそばにいてほしい。

と言ってきた。

もう完全に子供みたいな

わがままだな。


でもさすがに母も疲れていたし

また倒れられてたら困るので

夜は私と交代して母には

帰ってもらった。

母が帰ってからは父の意識は

ほとんどなくなり、ただ苦しそうに

唸っているだけだった。


先生の話によると、強い薬を

点滴でいれているから苦しそうに

見えるけど、苦しくはないですよ。

との事だった。


ほんとに、いつどうなっても

おかしくない状況で、私は足を

マッサージしたり氷で少し口を

湿らせてあげたりしてあげていた。

このまま死んじゃうのかな…

父との色んな事を思い出していた。

物凄く悲しいけど涙は出なくて

とても冷静な私がいた。